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アシンメトリーとモノトーンと老人

それは一瞬の出来事だった。

それは夏の暑い日。吉祥寺駅のアトレという建物から歩道にでた。すると、僕と入れ違いに、建物に入っていく人がいた。

グレーヘアーの外国人。70代くらいのおじいさん。「カールじいさんの空飛ぶ家」というピクサーの映画があったが、少し似ている。そのおじいさん、なんと左右の靴の色が違う。右は黒で、左は白だ。靴をアシメントリーにする若者ならごくたまに見るが、こんなおじいさんがやるなんて珍しい。むしろ、ご年配なので出かけるときに間違えてしまったのかもしれない、と瞬間的に思う。

なんとなく気になって、立ち止まって振り返ってみた。おじいさんが歩く後ろ姿を見て、もうひとつの事実に気づく。驚くことに靴だけでなく、靴下の色もアシンメトリーなのだ。右足の黒の靴には黒の靴下。左は白で揃えている。これは間違えて履いているのではない。完全に狙ってやっている。

さらに言うと、上は白のTシャツ、下は黒のハーフパンツで、全身をモノトーンファッションでまとめている。モノトーンで退屈にならないように、足元に斬新なアクセントを取り入れている。ここまでの情報を集めると「ファンキーでオシャレなおじいさん」というイメージを持つかもしれない。しかし、それは少し違う。Tシャツはダランとしているし、チープなオーラが全面に出ているのだ。ファンキーというよりストレンジ。カールじいさんに似ていると書いたが、見ようによってはまるで「株で大損しておかしくなったウォーレン・バフェット」のようだ。

おじいさんは建物のコーナーを曲がり、すぐに見えなくなってしまった。「おもしろい人見たわー」とニヤニヤしたが、そのあとすぐに表情が戻る。なんだか、そのおじいさんが僕の行く末のように思えたのだ。モノトーンにこだわり自由気ままに暮らす僕も、70歳になる頃にはああなっているのかもしれない。
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