Malzack Blog

Malzackの書くブログ

健全さに触れる

“Seek The Health. Anyone Can Find Disease”
健全を探しなさい。病気は誰にでも見つけられます。
A.T. スティル

この言葉の意味がようやくわかってきた。

やさしく触れるだけでカラダがゆるむ。この原理に気づいたのは3年くらい前だったか。それからは触診力を高めるトレーニングをずっと続けてきた。繊細なタッチで関節や骨をゆるめることは可能だが、クレニオセイクラルセラピーを学んでからはそれが脳脊髄の硬膜にも使えると知った。硬膜は人間の芯とも呼べる領域なので、ごく弱いタッチでもその効果はときに大きくなる。

大脳鎌、小脳テントのストレッチ、硬膜管の牽引。エネルギーレベルと言ってもいいくらいごくわずかな力だが、僕はカラダの構造を意図的に操作してきた。もちろん、それはカラダにとって害のない程度だし、カラダの緊張が強くまだリリースできる状態にないときには、強引に突破できないほどに弱い力ではある。

それでも、「頭痛がなくなった」「よく眠れるようになった」などとフィードバックをもらうと、自分が特別な人間だという勘違いが起きてくる。自然治癒力を信じるということを忘れて、ついつい心の片隅で「治そう」という邪念がでてくる。

自然界に良いも悪いもない。一見悪いと判断されがちなことも、バランスをとるために必要なものだ。悪い部分も必要、そう腑に落ちたときに、触診力が新しい領域に進んだ。これまでは、硬膜管の緊張、脳脊髄液の滞りに意識を置いていたが、それを感じ取りながらも否定せずにいたら、もっと奥底に存在する人間のリズムに気づいた。

脳脊髄液は6秒から8秒で1サイクルのリズムで流れている。しかし、それは砂浜に寄せる末端の波で、波はもっと前からはじまっている。つまり、脳脊髄液を支配するかのように流れるもっと大きなリズムがあるのだ。それはタイドと呼ばれる。タイドとは潮流という意味で、胎児のときから動いている根本的なリズムだ。

その潮流は、こちらから感じようと意識を働かせると感じられない。完全にニュートラルな意識でタッチをしているときにはじめて、そこにあることに気づく。構造を操作するテクニック、治そうと思うエゴ、それらを手放したときに自動的に入ってくる。

その潮流と出会ったとき、受け手の健全さに触れているような気がする。しばらく潮流に漂っていると、それは一瞬静止し、その後リズムに元気が出てくる。その過程で、硬膜の緊張が解放されたり、筋骨格が調整されたりと受け手に変化が起こっている。なんだ、こちらから操作しなくても、カラダは勝手に整うんだ。

カラダが勝手に整うといっても、それは芯からリラックスしているときのことだ。残念ながら日常の刺激のなかでは、人はリラックスできていない。だから自然治癒が正しく働かない。

では施術者の役割は何かというと、リラックスできるように、潮流が活動しやすくなるように、触れながらその場所に立ち会うこと。自然治癒力にアクセスするためのカギを預かっている感覚だ。そのカギを持つ資格は、症状やその原因を探す人ではなく、健全さを探す人に与えられるのだと思う。

というわけで、最近の施術はさらにレスイズモア。頭蓋骨、仙骨のロングホールドを主軸にして、あまりあちこちには触らない。どちらが効果的なのかは受け手のタイプによって異なるが、どちらも少なからず効果はある。

ただ両方のやり方を知ったいまどちらを選ぶかといえば、よはりミニマルなほうだ。モノを減らす生活からはじまった僕のミニマリストライフは、ここにつながっていたんだ。そんな感覚。
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