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— 丸山和訓のブログ —

「クレニオ」という呼び方と「何もしない」スキル

頭蓋骨は英語でCranio。発音は口語で書くと「クレイニオ」がもっとも近いだろう。

頭蓋骨にアプローチするボディワークはいくつもあって、ほとんどの場合「クラニオ」という単語が使われる。

しかし、僕は「クレニオ」と呼ぶ。それは、正式に学んだのがジョン・E・アプレジャーが体系化して広めた「クレニオ・セイクラル・セラピー」だからだ。10ステップ・プロトコルと呼ばれるコンパクトな手順で頭蓋骨、仙骨、隔膜を整え、さまざまな症状に対応できる優れた手技療法だ。「クラニオ」と呼ぶボディワークは別の流派で、アプレジャー直系のスクールや書籍では、「クレニオ」という表記を選んでいる。読み方も英語の発音に近い。

アプレジャーのスタイルは、5グラム程度の力で頭蓋をあつかう。しかし、僕は5グラムの操作をやめた。Outside Inのアプローチで頭蓋仙骨を整えるのではなく、0グラムで頭蓋仙骨に手を当て続けて、Inside Outでカラダが整うのを待つスタイルだ。つまり手を当てるだけで、何もしない。

0グラムといっても、セッションを成立させるためには訓練を積んだ人の触診力や直感、知識が必要だ。ところが、実は初心者が触るだけでも効果は出る。ちょっとしたコツだけ教われば、カラダの自然治癒力を高めるワークは誰でもできる。

誰がやっても効果が出るが、「操作できるけどしない」というステップを踏んでいるかは重要だ。頭はデリケートで弱いタッチでも効果が出やすいが、効果が出やすいということは変化しやすいということ。Inside Outのアプローチと言っても施術者を介して変化させるわけだから、100%安全ということはあり得ない。

施術者がそう思っていなくても、知らず知らずのうちに力が入って、圧がかかり続けることもある。その場合、脳圧が変化することもある。そして、万が一よろしくない変化が起きてしまったときには、「操作する」というスキルで対処することも想定しなければならない。

頭蓋には禁忌もある。脳動脈瘤などあったら触ること自体が危険だ。セッション前に「何も病気はない」と言われたとしても、触ってみて「まずい」と感じたら勇気のある撤退をしなければならない。

カラダの感覚が極端に鋭いクライアントは、セッション中に筋骨格のトラウマが解放され、感情が溢れ出てしまうこともある。それはときに、何かが憑依しているんじゃないか、と思えるような事態になる。そんな事態になったときは、リリースが確認できるまで付き添わなければならない。リリースサインを確かめるには、脳脊髄液の屈曲伸展の触診ができなければいけない。

触れているだけで効果は出るが、いろいろなケースに対応できるスキルは必要なのだ。「何もしない」という言葉の裏には「操作できるけどしない」が隠されているのである。

しかし、操作ができるとついつい頭蓋骨や硬膜を動かしたくなってしまうのが、このワークのもっとも難しいところである。

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